近年、フリーランスの間でクラウドソーシングサイトの注目度がにわかに高まっています。
フリーランスは自分の仕事を自ら営業して確保しなければならないわけですが、実際に企業に足を運ぶだけでも非常に手間がかかってしまいます。高度な交渉テクニックも求められるため、必ず意中の仕事を手に入れられるとも限りません。思うように仕事を得られずに困っているフリーランスが多いのが実情です。その点、クラウドソーシングサイトを活用すれば、すぐに自分の得意分野にマッチする仕事を見つけることができます。打ち合わせや納品を全てネット上で完結できるため、時間や経費の削減にもなります。仕組みとしてはフリーランスにとって理想的なツールと言えるでしょう。しかし、実際にクラウドソーシングサイトを利用した経験のあるフリーランスの中には、現状のクラウドソーシングサイトに不満を抱いている方も少なくありません。彼らの体験談を参考に、クラウドソーシングが簡単に稼げるような甘い世界ではないという事を知ってください。
大手クラウドソーシングサイトに会員登録したAさんは、もっぱらロゴデザインのコンペに参加していました。何度かコンペに応募した中でAさんが感じたことは、仕事の報酬が労力に見合わないという事でした。
設定されている報酬額は、クライアントが自分の判断で決定しています。1件あたり10万円以上の報酬が設定されているコンペもないことはありませんが、きわめて稀です。大抵は1万円前後であり、この仕事だけで生計を立てるのは非常に厳しいと言わざるを得ないのが実情です。クラウドソーシングは便利ではあるもののお小遣い稼ぎ程度の用途でしか利用できないとAさんは判断しました。
基本的にコンペ形式の案件では、クライアントが選んだ一つの作品の制作者のみに報酬が支払われます。たまに参加報酬が支払われる案件もありますが、ごく少額です。言い換えれば、自分の作品を選んでもらえなかった場合、その制作に費やした時間をドブに捨てる結果になってしまうという事です。最悪、大量に応募したにもかかわらず一か月間収入0という事態になる恐れもあります。労働者の立場としては、収入の保証がないのは非常にリスキーなことです。
デザインの手直しを巡ってクライアントとトラブルになるケースもあり、利用に際しては十分に注意する必要があります。
クライアントが非公開にしない限り、コンペに提案された作品は全て一般公開されます。他のフリーランスも閲覧することができるため、自分のデザインを他人に真似されてしまう恐れがあります。自分が額に汗して制作したデザインを横取りされれば腹が立ちますし、明らかに自分よりキャリアの劣るフリーランスに負ければプライドが傷つきます。クラウドソーシングサイトで仕事していると、真面目に努力するのがバカバカしくなることもあるとAさんは愚痴をこぼしています。